『企業がNPOから学ぶべきことの第一が、使命をもつことである。』

P.F.ドラッカー,チェンジリーダーの条件Part2・4章
代表取締役 瀧野 雅一

 働く人はミッションを持つことによって、行動に焦点を合わせられます。目標の達成に必要な戦略も明らかにすることができます。規律をもたらすことも可能になります。ミッションが明確になれば、限られている経営資源を面白そうなことや儲かりそうなことに分散させる過ちを防ぎ、生産的な活動に集中させることができます。

 NPOといえども、成果をあげるにはプランが必要です。プランはミッションからスタートさせます。ミッションからスタートしなければ、いかなる成果もあげられません。ミッションがあげるべき成果を規定します。

 一流のNPOはミッション、すなわち目的の定義に力を注ぎます。ボランティアや、有給スタッフの仕事が具体的にわかるように目標を定め、そこに焦点を合わせます。重要なことは価値を感じるものの中で、うまくいっているものをさらにうまく行えるようにすることです。

○ミッションを具現化するための成果を定義する落とし穴
①大義だけを唱える

 大義が全てであって、支援しないのは支援しないほうが悪いと思いがちです。重要なことは、限られた資源を成果の期待できるところへ集中することで、できない約束をすることではないのです。

②大義の追求を考えずに成果を求めること

 お金を集めやすいことに力を入れてしまいがちです。企業は仕事ぶりに応じて対価を受け取ります。NPOはそうではありません。かといって、意図に対して支払いを受けるわけでもないのです。

○無給だからこそ満足を求める

 無給のボランティアたちに、指示が出しづらいイメージがあります。しかし、多くのNPOがボランティアは無給だからこそ、大きな貢献をし、仕事に満足をしてもらわなければなりません。昔のボランティアは、言われたことをするだけの助手にすぎなかったかもしれません。しかし今では、ボランティアは善意のアマチュアから、スペシャリストとしての無給のスタッフに移行しています。ボランティアはパートナーとして接しなければなりませんし、ボランティアと呼んではいけないかもしれません。

 無給であるが故に、仕事そのものからやりがいを感じさせなければなりません。彼ら彼女らを惹きつけるには、彼ら彼女らの能力や知識を活用しなければなりません。そして、意義のある成果をあげる機会を提供しなければならないのです。

 ボランティアとして働いている人の多くは、企業で働いています。ボランティアをする理由を聞くと、そのほとんどの人が「役割が曖昧で、やりがいが十分ではありません。あるのは、利益の追求だけです」との答えが返ってくるそうです。