『そもそも働く人が責任を欲しようと欲しまいと関係はない。働く人に対しては責任を要求しなければならない。』

P.F.ドラッカー,(引用元:現代の経営【下】 第23章
代表取締役 瀧野 雅一

働く人に仕事で責任を持ってもらうには①人の正しい配置、②仕事の高い基準、③自己管理に必要な情報、④マネジメント的視点を持たせる機会が必要です。

①人の正しい配置

 正しい配置つまり正しい人事のために継続的かつ体系的に努力することは、動機付けにおいての前提条件になります。(12.人と仕事のマネジメント(2)参照)

②仕事の高い基準

 仕事について高い基準を要求することは、仕事の改善に挑戦させるうえで効果的です。逆に、最低の水準に焦点を合わせることほど、人の動機付けを破壊するものはありません。

 動機付けとは働く人を駆り立てるということではなく、自分で自分を動かすようになるということです。そのための方法がより高い目標に目を向けさせることなのです。

 目標達成だけを評価すると、目標を低く設定してしまいがちです。目標達成能力を評価するより、目標設定能力を重視すると良いでしょう。

③自己管理に必要な情報の提供

 目標に照らして自らの仕事を評価するには、情報が必要です。働く人たちがどれだけの情報を欲しているかではありません。マネジメントがどこまで働く人を巻き込まなければならないか、あるいは働く人が会社の要求することをどこまで受け入れるかです。

 働く人は、自らの仕事ぶりについて自ら管理し、評価し、方向づけする必要があります。会社は働く人に対し、自らの行動の結果について責任を持たせることが必要で、働く人が自らの仕事が全体の活動といかなる関連にあるかを知ることが必要なのです。

 また、自らが会社に対しいかなる貢献をしているか、会社を通じて社会に対しいかなる貢献をしているかを知ることが必要です。そのための情報をどのタイミングで提供するかが重要です。

 自らの仕事を評価すべき人にそれらの情報を迅速に伝達するのは、相応の工夫が必要です。もし情報がなければ、仕事ぶりを向上させるための動機づけの手段もないことになります。

④マネジメント的視点を持つ機会

 マネジメント的な視点とは、企業全体の成功と存続に責任を持つ経営管理者の視点のことです。

 ①~③は責任への動機づけのための条件ですが、これらだけでは十分ではありません。仕事に誇りを持つことや、達成感は大切です。しかしそれらは与えることはできないのです。

 人は誇れるものを成し遂げて誇りを持つことができ、なにかを達成した時に達成感を感じます。仕事が重要なとき、自らを重要と感じます。

 マネジメント的視点を持つ活動、その一つとして職場コミュニティー活動があります。親睦会、勤務表の作成、職場安全運動、社員食堂、社内報などがそうです。

 業績には直接の影響は少ないですが、仕事としては大きな責任が伴います。積極的かつ責任ある参画をして頂きましょう。