『マネジメントとは何か、何をするものか、との問いに対する答えは、マネジメントの機能を分析することによって初めて得られる。なぜなら、マネジメントとは機関だからである。機関は機能によってのみ説明され、明らかにされる。』
P.F.ドラッカー,現代の経営《上》第2章
マネジメントとは、組織特有の機関です。意思決定をしたり、行動するということはマネジメントが行うことで、組織だけがあっても意味のあることは何もできないのです。
第1の機能 事業のマネジメント
マネジメントたる者は、公共への奉仕が求められます。しかし、マネジメントを評価する基準は、事業上の成果です。様々な意思決定と行動によって、経済的な成果を上げることによってその存在が正当化されます。
活動には従業員の幸せ、コミュニティーの福祉、文化への貢献などの非経済的な成果もあります。しかし、経済的な成果をあげられなければマネジメントは失敗です。消費者が進んで支払う価格で、望む商品やサービスを提供できなければ失敗なのです。
第2の機能 経営管理者のマネジメント
経済的な成果を上げるために、企業は存続しています。したがって、マネジメントの二つ目の機能は、人的資源を活用して生産的な企業を作ることです。
具体的には、経営管理者をマネジメントすることです。企業の経営資源とは「人・物・金」と言われております。活用できる経営資源の内、成長と発展できるものは「人」だけです。人の成長ないし発展とは、何に貢献するかを自ら決められるようになることです。一般従業員と経営管理者とを区別し、自分や他人の仕事についての決定に責任もなければ関与もせず、指示された通りに働く者として定義してはいないでしょうか? それは一般従業員を物的資源と同じように扱っていることになるのです。
企業の目標とはマネジメントの目標であって、業績とはマネジメントの業績です。したがって、企業は業績をあげられなければ、従業員ではなく、社長を代えなければならないのです。
第3の機能 人と仕事のマネジメント
人の特性、能力、限界を知ることによって、人を資源として見ることができます。動機付けをし、意思決定に参画させ、仕事を通じて満足を得られるように仕事を設計しなければなりません。そして、報酬や地位を要求する存在として見ることも必要です。
第4の機能 現在と未来のマネジメント
現在と未来を同時に満足、あるいは調和させる必要があります。少なくともバランスはさせなければなりません。さもなければ、富を創出するための資金は危険にさらさせてしまいす。
マネジメントは現在において、成功させて利益をあげます。さもなければ、企業の未来そのものを失います。同時にマネジメントは将来にわたって企業を成長・繁栄させ、少なくとも存続させなければ、資源を生産的に活用するという責任を果たしたことにならず、単に資金を食い潰したことになるのです。