『いかなる一般教養を有し、マネジメントについていかなる専門教育を受けていようとも、経営管理者にとって決定的に重要なものは、教養やスキルではない。それは真摯さである。』
P.F.ドラッカー,現代の経営【下】第29章
経営管理者は知識、能力、スキルだけでなく、ビジョン、勇気、責任、そして真摯さをもって人を導くことが求められます。そして、仕事ができればできるほど真摯さを求められるのです。
◯経営管理者の仕事
あらゆる経営管理者はマネジメント以外にも多様な仕事をこなします。販売部門の経営管理者は売り上げを分析をし、大切な顧客をもてなします。工場長は機械を修理し、生産報告を作成します。社長は銀行からの借り入れの条件を詰め、大きな契約をまとめます。
これらの仕事は、それぞれのポストにつきものの仕事です。いずれも必要であって、立派に行う必要がありますが、それらの仕事とは別に地位やポストにかかわらず、あらゆる経営管理者が共通して行う仕事、経営管理者だけが行う仕事があるのです。
①目標を設定する
経営管理者は目標が何でなければならないかを決定します。目標の具体的なゴールを決めたり、目標達成するために何を行わなければならないかを決めます。そして、目標を達成する上で必要となる仕事を行うべき人たちと話し合います。
②組織する
経営管理者は必要とされる活動、意思決定、関係を分析します。仕事を分類し、仕事をマネジメント可能な活動に分け、さらにそれらの活動をマネジメント可能な作業に分けます。そして、それらの活動や作業のマネジメントするべき人を選び、それらの仕事を行うべき人を選びます。
③動機付けを行い、コミュニケーションを行う
経営管理者は仕事に責任を持つ人をチームにまとめ、それを仕事を通じて行います。優れた仕事に対するインセンティブ、褒賞や昇進に関わる方針によって行います。部下へのコミュニケーションと、部下からのコミュニケーションによって行います。
④評価測定する
仕事ぶりを評価するための尺度を設定します。評価測定の尺度は会社全体と働く人たちの仕事ぶりに大きな影響を与えます。
⑤部下を育成する
経営管理者はマネジメントの仕方によって、部下の成長を容易にも困難にもします。部下の強みを引き出しもしますが、せっかくの強みを殺すこともあります。部下の仕事への真摯さを強化することもあれば、腐敗させることもあります。
5つの活動のそれぞれについて、自らのスキルと仕事ぶりを改善することで、優れた経営管理者となっていきます。そして、目標達成能力も大切ですが、目標を設定する能力がなければ、一人前の経営管理者にはなれないのです。