『ミッションとリーダーシップは、読んだり聞いたりするだけのものではない。実践するものである。』
P.F.ドラッカー,非営利組織の経営 第1部 第5章
意図では山は動かせません。山を動かすのはブルドーザーです。ミッションとプランは意図にすぎません。経営では戦略がブルドーザーです。戦略が山を動かします。戦術は合理的な判断をすれば良いですが、戦略は長期的なビジョンが必要です。
○長期目標からスタートする
短期的な活動も短期的な成果も必要です。しかし、スタートは長期的な目標でなければなりません。行動は短期ならざるを得ません。だからこそ、長期の目標につながっているか、寄り道をしていないか、目的を見失っていないかを考えなければなりません。
したがって、最初に考えなければならないのはリーダーシップではなく、ミッションなのです。
○成果を中心に据える
優れたリーダーは「私は」とは言いません。意識して言わないのではなく、「私」を考えないのです。いつも「われわれは」と考えているのです。チームとして考えています。優れたリーダーは、自分の仕事がチームを機能させることだと理解しています。責任を引き受け、成果は「われわれ」のものとするのです。
ミッションと同時に経営にとって重大なことは、成果を中心に据えなければならないということです。活動に見合う成果、つまり、資源の配分が適切なのかを考えなければなりません。
もちろんニーズこそが行動の理由でが、ニーズだけでは不足です。成果が必要です。後に「無駄に働いたのではなかった」と言えなければなりません。
なので、あらゆるプロジェクトについて、成果をもたらすかを考えなければなりません。そして、リーダーの仕事がその成果を上げさせることなのです。
○リーダーがしてはならないこと
多くのリーダーが自分のしていることとその理由を、みんなが理解しているはずだと思い込んでしまいます。
また、自分の言っていることはみんなが理解してくれていると、思い込んでしまいます。いずれも理解などしていません。
なので、決定する前には相談したり、議論に参画させたりしなければなりません。理解してもらうための時間を作ることも必要です。
○廃棄から始める
リーダーシップとは行動です。思索にとどまってはなりません。リーダーシップとはカリスマでもありません。演技でもありません。行動です。行動とは、ミッションを書き換え、焦点を合わせ直し、その上に新しいものを築き、組織することです。
力を入れ続けるか、資源を注ぎ続けるか。それとも減らしていくか。思い切って廃棄するか。活動を破棄することで組織をスリム化します。廃棄することで、新しいことができるようになります。
リーダーたるものが次に行うべきことは、優先順位や劣後順位を考えることです。廃棄することに多くの反対意見があるなか、時には捨てなければならないこともあるでしょう。しかし、資源を集中しなければ、成果をあげることはできません。選択と集中とは、しないことを決めることなのです。